小規模企業景気動向調査【2021年4月期調査】


小規模企業景気動向調査【2021年4月期調査】

~緊急事態宣言等の影響で、2カ月連続の大幅改善から横ばいに転じた小規模企業景況~

2021年5月26日
全国商工会連合会

<調 査 概 要>
調査対象:全国約300商工会の経営指導員
調査時点:2021年4月末
調査方法:対象商工会経営指導員による調査票への選択記入式


<産 業 全 体> 


◇…緊急事態宣言等の影響で、2カ月連続の大幅改善から横ばいに転じた小規模企業景況…◇ 

4月期の小規模企業の景況DIは、2カ月連続の大幅改善から横ばいに転じた。

昨年4月期の▲78.6から見れば改善しているものの、昨年の経済活動がほぼ停止した4月よりは良い程度だというコメントも目立った。

コロナ禍の生活様式に対応したサービスの提供などの事業者の工夫や感染防止をはかりながらの経済活動により、

昨年の前年同月と比べると、稼働率や客足は戻りつつある。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による経済活動の抑制もあり、

先行きが不透明なことから、事業者は精神的にも体力的にも疲弊しているとの声が多くみられた。

 


<製 造 業>


◇…機械・金属関連が大幅改善も、全体では悪化と、明暗が分かれた製造業…◇


製造業は、業況DIが小幅な悪化となり、それ以外はほぼ横ばいとなった。食料品関連は、巣ごもり需要が堅調であるが、

原材料の原価高騰や土産物店・飲食店の需要減退等で厳しい状況である。

機械・金属関連は、半導体関連や医療衛生分野等の受注増により、業況DIが15pt以上改善したものの、

国内外の需要停滞や原材料の価格高騰等もあり、先行きを不安視する声が目立った。

繊維関連は、外出自粛等の影響で需要が減退し、また、生産調整や取引規模の縮小等もあり、大幅な悪化となった。

一部業種が好調でも、製造業全体では悪化となり、明暗が分かれた格好である。


<建 設 業>


◇…回復基調から、小幅な悪化に転じた建設業…◇


建設業は、採算DIが小幅に改善したものの、その他のDIは小幅な悪化となった。

公共工事は、一部に例年よりも少ないとの声があるものの、引き続き堅調である。

民需においても、新築工事や修繕・リフォームが好調との声が多かった。しかし、公共工事が徐々に減少していることや

、建築木材の輸入量の減少とそれに伴う価格の高騰等により、工期の遅れや採算の悪化が発生し、

すでに一部では資金繰りに影響が出ているなど、今後を不安視する声が多くみられた。

                   
<小 売 業>


◇…回復基調から、足踏み状態に転じた小売業…◇


小売業は、採算DIが小幅に悪化し、それ以外はほぼ横ばいとなった。食料品関連は、巣ごもり需要により内食向けは堅調であるが、

飲食店との取引の多い事業者は、時短・休業要請などの影響を受け、依然として厳しい状況が続いている。

耐久消費材関連は、引き続きウイルス対策関連の機器の購入や買替で堅調であるが、

購買意欲が落ちているとの声や通販に需要を奪われているとの声もある。

衣料品関連は、外出を控えの影響で需要が減退しており、

また、一部ではネット購入への移行により売上が低調との声もあり、今後も予断を許さない状況にある。


<サービス業>


◇…3か月連続の改善も、全体的には厳しい状況が続くサービス業…◇


サービス業は、4 業種で唯一、小幅ながら全DIが改善した。全DIの改善は3カ月連続である。

宿泊業は、一部地域ではビジネス関連の利用や地域商品券発行等による需要があるとの報告があったが、

あくまでも、危機的な状況であった昨年4月との対比の改善であり、春の行楽シーズンの需要がほぼ無くなるなど、

低い稼働率が続いている。飲食業は、歓迎会シーズンであるが会食を避ける傾向が強まっており、苦境が続いている。

また、洗濯業及び理美容業は、一部で、客足が戻ってきているとの声もあるが、来店頻度が減っており、厳しい状況となっている。

 

 

 

 

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